【18歳になったら何が変わる?】障害児から障害者へ ― 制度の切り替えとメリット・デメリット

障害福祉

こんにちは。
今回は障害のある方が18歳になった時に生じる変化について記事を書いてみたいと思います。

障害のある子どもが18歳になると、法的な扱いが「障害児」から「障害者」に変わります。

これは単なる呼び方の違いではなく、利用できる福祉サービスや支援の仕組みが大きく変わるという意味があります。

「子どもの頃は受けられていたサービスが、大人になると変わるの?」
「どんな準備が必要なの?」
「今までお世話になっていた方を離れてしまうのがとても心配」

そんな疑問を持つご家族も多いと思います。今回は、18歳の節目で変わる制度やサービス、そのメリット・デメリットを分かりやすく整理してみます。

制度が変わるタイミング

18歳の誕生日を迎えると、福祉サービスの枠組みが次のように変わります。

年齢主な法律主に受けられるサービス
18歳未満(障害児)児童福祉法放課後等デイサービス、児童発達支援

                  ↓18歳になったら

18歳以上(障害者)障害者総合支援法就労継続支援、生活介護、相談支援

つまり、18歳の誕生日を境にサービスを受ける法律そのものが変わるのです。

具体的に変わるサービス内容

児童期に多いサービス

児童発達支援(未就学児向け)
→障害児を対象にした通所支援サービスで、日常生活における基本的な動作の指導、知識や技能の習得、集団生活への適応訓練や、その他生活に必要な支援サービスの提供

放課後等デイサービス(学齢期向け)
→学校に通学している児童が、授業の終了後や夏休みなどの学校がない日に、児童発達支援センターなどの施設に通って生活能力向上の訓練や、社会を学ぶ支援のこと。放課後の居場所づくりです。

保育所等訪問支援 など
→通所支援サービスで保育所や幼稚園、認定こども園、学校、放課後児童クラブ、乳児院、児童養護施設など集団生活を営む施設を訪問して障害のない子供との集団生活への適応のために必要な専門的な支援を行うサービス

成人期に多いサービス

生活介護(重度の方の日中活動)
→長期入院が必要な障害者に対して介護や日常生活の支援を行うサービス

就労継続支援A型・B型(仕事や作業)
→働く意思があるにもかかわらず、就労の機会になかなか恵まれない人や、支援があれば仕事が出来る人に対して就労機会を提供するサービス
A型は雇用関係あり、B型は雇用関係はないが毎月工賃が支払われる。

自立訓練(生活訓練・就労訓練)
→身体の機能や生活能力の維持または向上を目的に行われるサービス。

就労移行支援
→働くことを希望する65歳未満の障害者で、一般の事業所で働くことが可能な人に向けたサービス

グループホーム・短期入所 など
→夜間や休日、共同生活を行う住居で相談や日常生活上の援助を得られる。短期入所は短期間だけ入所して食事・入浴などの介護支援を受けることが出来る。

例えば18歳になると「放課後デイ」が使えなくなる代わりに、仕事・生活・地域での暮らしを支えるサービスが利用の中心になります。

メリット(18歳で変わる良い点)

① 大人としての選択肢が広がる
→働く練習や社会参加の機会が増えます。「仕事をしたい」「地域で暮らしたい」など、将来を見据えた支援が受けられるようになります。

② グループホームなど生活面の支援が充実
→保護者の高齢化や自立を考えたとき、住まいや生活支援の制度が充実しているのは成人期の特徴です。

③ 計画的な支援が進む
→成人期のサービスは**サービス等利用計画(相談支援専門員が作成)**をベースに動きます。

本人の希望や特性に合わせたオーダーメイド型の支援が受けやすくなります。

デメリット・注意点

① 今まで慣れていたサービスが使えなくなる
放課後等デイサービスなど、子ども向けの事業所とはお別れになるので、慣れた環境から変わることが大きなストレスになる方もいます。

② 18歳からの制度は選択肢が多く、情報が複雑
どの事業所・サービスを使えば良いのか、初めてだと迷いやすいです。早い段階で市役所や相談支援事業所への相談した方が良いです。本当に選択肢が多くて迷います。この迷うというのは勿論良い意味で迷うということです。世界が広がります。

③ 就労や生活の「自己選択」が求められる
成人期のサービスは「本人の意思」を大切にします。 その分、保護者だけでなく本人がどうしたいかを考える場面が増えます。

18歳という移行期の準備はどうすればいい?

(1)早めに相談支援事業所へ
お子さんが中学生になったぐらいから市役所や相談支援専門員と接点を持って情報を収集していくことが良いでしょう。

(2)18歳前に「体験」してみる
就労支援事業所や生活介護の事業所では、見学や体験を受け付けていることが多いので実際に通ってみて体験することを強く推奨します。
合う・合わないを事前に知ることができるのはとても重要ですからね。

(3)学校の先生とも連携
特別支援学校や支援学級の先生と一緒に、卒業後の進路を早めに話し合っておきましょう。ただ先生によっては特定の事業所サービスしかご存知ない方もおられるかもしれないので、なるべく複数の方に話を聞いたほうが良いでしょう。

まとめ

18歳を迎えることは、障害のある方にとって「子どもから大人へ」制度が大きく変わる節目です。

子ども時代 → 生活や学習の支援中心

18歳以降 → 働くことや地域での生活支援中心

メリットは大人として選べる幅が広がること。一方で、今までの環境が変わる不安や複雑さというデメリットもあります。
もしかしたらご本人より、親御さんの方が子供の進路について心配するケースの方が多いかもしれません。

大切なのは、できるだけ早い段階で「18歳からどうしたいか」を本人・家族・支援者で話し合っておくことです。

でも、実際のところ「どこに行ったら教えてくれるの?」が分からないと思います。もしこの記事を読んでいる方であれば我々のような障害福祉の専門家に尋ねるのも良いですし、障害福祉の場合は自治体によってルールが異なるケースが往々にしてあるので、一番はまず最寄りの自治体の福祉課などにご相談されることをお勧めします。

18歳からの一歩を、安心して踏み出せるように。

制度の違いを知って、将来の準備を少しずつ始めていきましょうね。

今回も最後までお読み頂きましてありがとうございました。

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