こんにちは。
今回は外国人を雇用した雇用主側の罰則について書いてみたいと思います。
昨今の人手不足事情を考慮すると、多くの会社が「外国人であっても雇用して人手不足を解消したい=(若干語弊はありますが)猫の手も借りたい」と考えるケースが多いのではないでしょうか。
会社事情によっては業務が回らなくなるなど死活問題ですからね。
とは言え、国内にいる外国人を誰でも採用できて、また採用できてもどんな仕事にも従事させることができというのは間違いで、事前に在留資格で条件などを確認する必要があります。
※制限がない外国人の方もおられます。
今回の記事をご覧頂くことで、雇用側のリスクと対策について理解が深まると思いますので、是非最後までお付き合いください。
それではいきましょう。
「知らなかった」では済まされないリスクとは?
いきなり、びっくりするような見出しをつけましたが、もし雇用主が外国人を不法就労させたり、不法就労をあっせんした場合は「不法就労助長罪」が適用され、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金(場合によっては両方併科される)可能性があります。
この「不法就労助長罪」は毎年約360~400件程度検挙されており、単純計算だと毎日どこかしらで検挙されていることになります。
外国人が増えている現状、件数は今後も増えて行くでしょうし、取り締まりも強化されていくことが予想されます。
この「不法就労助長罪」の怖いところは、雇用側が「知らなかった」としても、在留カードなどの確認を怠ったことに過失がある場合は処罰の対象を免れないという点になります。
外国人としては就労は死活問題になります。まして不法滞在などで本来は日本に滞在することが出来ない人の場合、就労してとにかくお金を得るために苦し紛れの嘘を言う方もおられるかもしれません。
「本人が言う事を信じていた」では通用しない可能性があるので、雇用側がしっかりと本人確認を行う責任があります。
「不法就労」とはどのような状態か?
では、具体的にどういったケースが「不法就労」にあたるのか。主なケースとして以下の3つを挙げました。
1.就労不可の資格で働いている
例)留学生が許可を受けずに働いている
2.在留期限が切れている
例)在留期限が切れた状態で働いている(密入国者も同様です。在留期限がそもそもないですからね)
3.在留資格に合わない業務に従事させている
例)営業目的で取得した在留資格で工場のラインに入り、単純作業をしている。
多くのケースは上記の3つに当てはまるのではないかと思います。いずれも在留カードを確認すれば把握できる内容なので、「確認していませんでした」では済まされないのが実情です。
【対策】雇用前に必ず確認すべき3つのポイント
1.在留カードの有効期限と就労可否欄
2.就労可能な在留資格かどうか(業種と照らし合わせ)
※異動をさせる際も注意が必要です。場合によっては変更届を出しましょう。
3.留学生などの資格外活動許可の有無
※条件によっては働けるケースもあります。
心配な場合は行政書士などの専門家に確認してもらうのが安心です。
【まとめ】企業としてのリスク管理と姿勢が問われる
社業を安定させるために採用したはずの外国人が、ちょっとした確認不足によって不法就労となっており、結果的に不法就労助長罪という犯罪の片棒を担がされていたとなってしまえば目も当てられません。
これらは、雇用前のちょっとした事前チェックで回避することができます。「日本に既に滞在しているし、滞在期間も長いから日本人同様に雇用する子はできるでしょう」なんて安易に考えていると、長らく不法滞在していたケースもあるかもしれません。
ちなみに正規の在留資格で入国したにもかかわらず、在留期限を過ぎても滞在している外国人のことを不法在留と言いますが、こちらは毎年約24%もの増加率で年々増えています。最初は違法ではなかったのに、いつの間にか違法状態になっていたというケースもあるかもしれませんが、「うっかり」では済まされませんので注意が必要です。
外国人を雇用する際の雇用主が注意すべき細かい点については「外国人雇用管理指針」というのが厚生労働省のサイトに公開されています。
こちらは17ページに及ぶpdf資料ですが、内容がびっしりと書かれており、なかなか読みづらいかもしれません。
その場合は、出入国在留管理庁のサイトにある「生活・就労ガイドブック」の方が、読みやすいと思うので、まずはそちらを一読してみるのが良いでしょう。
※第3章より雇用について記載されています。
就労する外国人が、いきいきと仕事してくれるのは雇用主側としてもメリットが大きいはずです。
お互いがちょっとした認識不足などにより不幸な結果になってしまわないよう、雇用の際は「日本人の雇用とは違ってチェックするべきことがあるんだな」ということを念頭に置いて雇用を検討していただければと思います。
今回も最後までお読み頂きましてありがとうございました。