こんにちは。
今回は僕が前職で総務として在籍していた時に、韓国の大学生を新卒採用した際のお話しについて記事を書きたいと思います。
受入れ企業の総務担当者としてビザ取得などを担当
当時在籍していた会社は中小企業で、外国人の採用は2人目でしたが、最初の1人目はちょうど世界的にコロナで混乱している時期だったので結局来日することができず、そのまま退職してしまいました。
タイミング的には非常に不幸な時期にあたってしまった感じです。
ですので僕が担当した韓国人の大学生が実質初めての入社でした。
行政書士でも何でもなかった総務の一担当者である僕は右も左もわからないまま、出入国在留管理庁のサイトや他の人(行政書士の方)が書いてくれている詳しいブログを見ながら、まさに見よう見まねで準備を進めました。
最初はさっぱりわからず、「技人国って、何?そもそも何て読むの?」という状態でした。何とか書類を揃えて提出に行くときなんて、「外国にでも行くのか」というぐらい緊張してましたが、意外にも混んでおらず、思いのほか拍子抜けしたのを記憶しています。
ただ詳細は忘れましたが、その場で何かを指摘されたため、近くの郵便局を教えてもらい、急いで買いに行った記憶があります。
前例のない外国籍の大学生のビザ取得で、4月1日の入社式に間に合うように動かないといけない。かといって早すぎる動きだと向こうの大学卒業前に渡航期限が過ぎてしまって入国できなくなりかねないなど不安を感じながら進めました。
4月1日の入社に合わせて確か11月ぐらいから動き出したように記憶しています。
ただ翌年2月ぐらいだったか出入国在留管理庁から手紙が届き、申請した書類に不備があるとの連絡が来ました。「入社式に間に合うか?」と、とても心配したことを覚えています。
不備の内容というのは「卒業見込証明書」ではなく、「卒業証明書」が必要だということ。
よって、卒業式を終えた後に急いで証明書類を取得して電子データでも良いのでいったん僕宛に送ってもらうよう彼に伝えました。「見込」じゃダメなんですよね。よくよく考えたらそのような不確定要素だとダメなのは理解できますが、当時の僕はただただ焦りました笑
そんなこんなでしたが、在留資格認定証明書が届いたときは嬉しかったですね。
でも、オンライン申請ではなかった僕は手元にある在留資格認定証明書をどうやって韓国にいる彼の元に届けたら良いのかわからず、「ク〇ネコさんじゃ無理だよな…」と途方に暮れていたところ、国際事業部の方が送付してくれることになりました。
そして彼は無事入社。それまではリモート越しでしか話せなかった彼と実際に国内でお会いできた時は感激しましたし、「ようこそ!日本へ!!」という気持ちになりました。
入社した彼は非常に優秀な人材だったが、会社が使いこなせなかった?
彼は非常に優秀で日本語能力検定もN1(N5まであって、N1が一番難しい)を取っていました。他にもTOEICが900点ぐらいあり、韓国語は勿論、日本語、英語が堪能な優秀な人材でした。
また日本が大好きなこともあって短期滞在で何度も日本に来ており、日本の文化や習慣も理解していました。良いのか悪いのか自己主張も激しすぎず新入社員らしい真面目で腰の低い好青年でした。
日本人ではなく、まして複数の言語を操れる彼は間違いなく国際事業部で仕事するだろうと思っていたところ、会社が配属したのはまさかの国内営業(しかも本社は関西なのに東京支店へ配属)
国際事業部で世界を股に仕事をすることを夢見ていた彼の落胆ぶりは相当で、本当に肩をがっくり落として落ち込んでいました。彼の気持ちを考えたらそりゃそうですよね…。
とは言え、日本の会社としては総合職として彼を雇ったので、必ずしも希望の職種につけるわけではないこと、その後の経験や適性によっては(もうすでに適正は十分すぎるほどありそうでしたが)国際事業部に配属されることも十分あるということを伝えて(慰めて)、しぶしぶ彼は東京に引っ越しました。
ところが、2カ月ぐらい経過したでしょうか。世界で仕事がしたい彼は上長に国際事業部への配属を直訴しました。この辺りは日本人にない主張力があるなと感心したものです(当時の会社はよく言えば大人しい人が多かったため、彼のように主張できる人は皆無に等しかった)
その結果、国際事業部に異動。「だったら最初から国際事業部に配属すればよかったのに」と会社の迷走ぶりが見えました。
ところが国際事業部に異動できたものの、今度は「新人だから」ということで資料整理などの雑務しか担当させてもらえず、世界はおろか国内の出張にも行けない日々が続いた結果、彼は1年足らずで退職してしまいました。最後の方は明らかに落ち込んでいて見るのも辛かったです。
会社のやり方が一方的に悪かった訳ではないかもしれませんが、外国人の価値観を十分理解せず、日本のやり方を押し付けるような形をとってしまったのは否めなかったのでは?と感じました。それでは外国人は定着しないでしょうと。
退職した彼と僕との現在の関係
僕は彼が日本に来るときからお世話していたこともあり、来日してからも国内の生活になれるよう自治体への手続きや免許、口座の開設、スマホの契約など色んなお手伝いをしてきたので、だいぶ仲良くなっていました。
彼が退職する日は総務として日時だけは聞いていた為、思い切って「最後に一緒にご飯食べに行こう」と誘い、2人で韓国料理を食べに行きました。
そこでこう伝えたんです。「退職しても、今後は友達として仲良くしていこう」と。
韓国に帰った彼は現地で改めて就職し、見事韓国の大手鉄鋼メーカーに就職が決まり、早速日本語能力を生かして出張ベースで来日を繰り返して活躍しています。彼の元々の能力を考えれば当然の活躍に思いますが、僕の前職場では彼の能力を活かしきれなかったのかなと感じずにはいられませんでした。
現在、多くの外国人が来日しています。中には残念ながら問題を起こす人もいますが、基本的には皆さん日本に好意的な思いで来日しています。当然ながら彼らは日本語以外の言語を操れます。そして総じて日本人より自分をしっかり持っており、まい進する力がある人が多いように僕個人は思っています。
(主義主張が強すぎるように感じられるケースも見受けられますけどね。どっちが良い悪いではないでしょう)
誰でも向き不向きはあると思いますが、そんな彼らが異国の地、日本で活躍し、雇用する側の企業としてもメリットがあるような関係になれば良いなと行政書士として思いますし、それらの実現に少しでも寄与できるよう今後も活動していきたいと思っています。
今回は取り留めのない思い出話になってしまいました。
今回も最後までお読み頂きましてありがとうございました。