こんにちは。
今回は、僕が一総務担当者として新卒採用された韓国人大学生を日本国内に呼び寄せるために行った在留資格手続きについて一般的な話も含めて書いてみたいと思います。
当時手続したのは「技術・人文知識・国際業務」という在留資格です。長いので略して「ぎじんこく」と呼ばれます。
この技人国ビザは扱いやすい反面、就労範囲が広くて若干わかりづらいので、2回の記事に分けて書いてみたいと思います。
韓国の大学生をどのようにして採用したの?
まず採用そのものですが、実は当時所属していた会社では特段外国籍の学生を積極的に採用していたわけではなく、日本の大学生と同様にリクナビで応募してきた外国人の方も普通に選考を進んでいっただけだったのです。
元々日本の会社を希望している外国の学生は積極的に応募をしてきますし、日本語もある程度理解できているので選考も特別ひいきすることはありませんでした。
外国の学生を積極的に採用したいという場合は以下のようなサイトを利用すると良いです。
【さくらJOB】
さくらJOBは関東エリアを中心に多数の求人と特定技能外国人をつなぐ特定技能外国人専門の求人サイト
https://sakurajob.com/
【マイナビグローバル】
海外留学生とバイリンガルのための就職情報サイト
https://global.mynavi.jp
技人国ビザだと何ができるの?
さて、そもそもですが技人国ビザというのは一体何ができるのでしょうか?
僕が新卒採用で迎えようとしていた韓国人の男性は多数ある在留資格の中でどれに該当するのか?を考えた時、最初はどうしたら良いかわかりませんでした。
というのも、彼を採用した枠というのが「総合職」という少々あやふやな職種だったからです。
総合職というのは、営業マンであったり、工場の生産現場や総務などの管理部門にもなりえるというものです。とは言え母国語の韓国語を話すことが出来る彼は国際事業部に配属して母国語を活かした活動をするのだろうなというのは明白だったので(ところが最初は国内向け営業に配属となるびっくり通達がでましたが…)、
ですが、メインの業務となるであろう「営業」と言う職種をキーワードに在留資格を探しました。
がしかし。「営業」というキーワードで在留資格が見つからないんです。
出入国在留管理庁の在留資格「技術・人文知識・国際業務」ページhttps://www.moj.go.jp/isa/applications/status/gijinkoku.html
技人国ビザは技術・人文知識・国際業務の略なので、さらに色々と調べて行くとそれぞれ職種例がありました。
技術:ITエンジニア、技術開発、設計、生産管理、品質管理など
人文知識:営業、マーケティング、企画、広報・宣伝、経理・財務、管理業務など
国際業務:海外取引、貿易業務、通訳・翻訳、私企業の語学教師など
ようやく人文知識に「営業」が出てきました。ここで「あ、技人国ビザを取得すれば良いのだな」とようやくゴール地点を確認することができました。
ですが技人国ビザは、大学等で学んだ知識を活かして仕事をすることが在留資格の目的となっているため、工場の生産ラインでの単純作業は認められていません。よって、総合職だからといって安易に工場の生産ラインに異動させると不法就労に該当する可能性があるので注意が必要です。ただし、生産ラインとは言っても他の従業員の管理をさせるなどの場合は単純作業に該当しません。
※午前は生産ラインで、午後から営業といった単純労働を部分的に含めるという形態の仕事もNGとなります。
技人国ビザのデメリットは、こういった職種が曖昧となってしまい、いつの間にか不法就労になってしまう可能性があるということが挙げられます。こういったトラブルを避けるためには定期的な在留資格の見返し(勿論滞在期限のチェックもお忘れなく)や、異動となる際は入管や専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。
技人国ビザって誰でも取得することができるの?
技人国ビザは国内にいる多くの外国人が取得しているものと言えますが、誰でも取得できるというわけではありません。 いくつか条件を見て行きましょう。
・単純労働は対象外
基本的に技人国ビザは専門性の低い業務が含まれているとビザを取得できない可能性があります。
・会社としっかりと雇用契約を結んでおく必要がある。
これは日本人を雇用する時と同様ですね。しっかり書面で契約しましょう。勿論日本人との不合理な差別はいけません。
・外国人が大学等を卒業していること
基本的には大学や専門学校などの卒業資格が必要ですが一定の実務経験がある場合は取得することができます。
・大学等で学んだ科目が業務内容と関連していること
これが重要です。在留資格を申請する時に雇用側が「何故、その外国人を雇用する必要があるのか」を作文にしたためて提出する必要があります。その際「〇〇さんは学生時代に〇〇といった勉強をしており、その知識が弊社の〇〇といったグローバル戦略に必要不可欠な知識であり、今後の売上増に貢献してくれるものと期待できる云々…」 といった文章で国を説得する必要があるんですね。
・会社の業績が安定しており、継続性があること
外国人を雇ったけどすぐに会社がなくなっては困るので安定的な企業経営ができているか審査されます。その為企業の決算書が審査されるケースもあります。
・法令違反をしていない
当然のことながら外国人を既に雇用しているが必要な報告を怠っていたり、不法就労をさせていて過去に行政指導を受けたなどの場合は審査が通らない可能性があります。先ほどの健全な経営の一つと言えますね。
まとめ
技人国ビザは幅広い職種が対象になるというメリットはあるものの、それが故に「うっかり就労範囲を超えてしまう」というトラブルを生じやすい在留資格です。
僕も初めて在留資格を見た時は「総合職って曖昧な職種だな」と、困ってしまったのを覚えています。
日本人の学生にも同様の事が言えますが、学生が専攻してきた科目と、実際従事させようとしている仕事にきちんとした理由がないとビザが取得できません。
「取り敢えず若い人材を入れておきたいから、取り敢えず入社してから暫くはラインにでも放り込んでおこう」という少々乱暴な計画ではせっかくの優秀な外国人を日本に呼び寄せることが出来なくってしまいますので注意が必要です。
技人国ビザについては、次回にももう少し記載したいと思います。
今回も最後までお読み頂きましてありがとうございました。