こんにちは。
今回は就労系の在留資格でよく使用される技術・人文知識・国際業務(技人国)、特定技能、技能実習の3つについて簡単に特徴と違いについて書いていこうと思います。最後に比較表もあるので外国人を雇用する際の参考にしてもらえればと思います。
まずは、それぞれの在留資格の簡単な説明をします。いずれも日本国内で仕事をするための在留資格ですが、特徴やメリット・デメリットがあります。「日本国内に入国できているんだから、どんな仕事をやっても大丈夫でしょ」というわけにはいかないですし、「え?そうだったの?知らなかった」では、許されないこともあります。
場合によっては、せっかく採用した外国人が不法滞在となってしまい急遽母国へ帰ってしまうと、業務に穴が空いてしまい経営にも打撃が出てしまいます。
きちんと抑えるべきところは抑えておくことで安定した経営も期待できますので、今回ご紹介する3つだけでもきちんと抑えて頂ければと思います。
それではいきましょう。
技術・人文知識・国際業務(技人国)
まず初めに高度人材(特定技能や技能実習を除いた就労系)の在留資格の一つである技術・人文知識・国際業務。長いので略して技人国(ぎじんこく)と呼びます。
多くの企業が主に外国人を雇用する際に使用するのが技人国ではないかと思います。名前も長いですが、説明文も長いです。
参考までに書きますと『日本の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは、法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務または外国の文化に基盤を有する思慮若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動…』とあります。若しくは、が多くて長い!
基本的にはホワイトカラーの業務は概ねこの技人国が使われるケースが多いのではないかと思います。例えば機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、語学教師、マーケティング業務、後方、SEなど
技人国は在留資格の更新に制限がなく、更新手続きを続けて行けば長期に渡って雇用できるのが大きなメリットになります。
特定技能
2019年より運用が開始された比較的新しい就労系の在留資格です。ただし、特定技能で従事できる仕事は人手不足が深刻な特定の分野に限られています。
※特定技能は1号と2号に分かれていますが基本的に1号について記述しております。
2024年12月19日現在の受入れ可能分野
介護、工業製品製造業、造船・船用工業、航空、自動車運送業、農業、飲食料品製造業、林業、ビルクリーニング、建設、自動車整備、宿泊、鉄道、漁業、外食業、木材産業
従事できる業務としては技能実習とよく似ているのですが特定技能は所定の技能試験に合格した外国人が対象となるため、技能実習よりも高い技術が必要とされています。
また特定技能の就労期間は5年に限定されていますが、技能実習を3年修了した外国人は特定技能に行こうすることができるため、トータルでいくと最長10年という長期間雇用することが可能なのはメリットと言えるでしょう。
技能実習
最後は技能実習。こちらは名前だけは聞いた方も多いのではないでしょうか。一時期ニュースでもよく報道されていましたよね。技能実習での受入れは外国人技能実習制度を用いて行います。
こちらは開発途上地域の外国人に働きながら日本の技能を学んでもらい、最終的には自分の国に帰って学んだ技術を自分の国の経済発展に役立ててもらうという、言わば国際貢献のための制度なんですね。ですので「いずれは帰国するのが基本」なのが技能実習になります。
また技能実習生を受け入れる場合、基本的には監理団体を通さないといけないのも特徴の一つです。
※監理団体は誰でもなれるわけではなく、出入国在留管理庁の許可が必要になります。例として商工会や農協などがありますが、民間の監理団体も存在しており、それらの団体に加入若しくは契約することで技能実習生を受け入れることができます。
先ほどの特定技能との大きな違いの一つに、この監理団体を通すというのが特徴になります。また、技能実習は最長5年ですが、3年経過すると特定技能に移行することができるため、そこから特定技能としてさらに5年間滞在することができます。
技能実習については、もしかしたら良いイメージを持っていない方もおられる方もいるかもしれません。それは「失踪」のイメージではないですか?
確かに一時期ニュースで頻繁に「技能実習生が失踪した」という報道がされていたことがありますし、現在も少なからずあるかもしれません。それは「技能実習の場合、転職できない」というのが影響しているかもしれません。
残念ながら技能実習生は「単に安く雇える労働者」としか考えられていないケースもまだ存在しており、そのような職場だと環境が悪く、外国人労働者が環境に耐えかねて失踪してしまうこともあるかもしれません。
すべてがそのような受け入れ態勢の不備があるわけではなく、もしかしたら悪意を持って日本国内に入ってくる一つの足掛かりとしている外国人もいるかもしれません。
これらの問題は特定技能という制度が発足したことにより、従来までの「帰国前提の技能実習」と異なり、より「就労」を重視して雇用できるようになったため、今後の改善が期待されます。
技人国、特定技能、技能実習比較表
技人国 | 特定技能 | 技能実習 | |
就労期間 | 更新していけば永続的 | 最長5年 | 最長5年 |
転職 | 〇 ※場合によっては在留資格変更 | 〇 ※場合によっては在留資格変更 | × |
家族の呼び寄せ | 〇 | △ ※2号の場合は可能 | × |
雇用人数 | 制限なし | 制限なし ※一部分野は制限あり | 常勤職員の総数に応じた人数制限あり |
備考欄 | 採用時は監理団体を通す |
※技能実習を3年修了すると特定技能に移行することができ、特定技能の5年と通算して10年は継続雇用可能
まとめ
以上が技人国、特定技能、技能実習の簡単な説明と比較になります。
それぞれに特徴やメリット・デメリットがあるので、雇用する際はどれが一番最適なのか検討する必要があります。
ご存知の通り、今後日本はさらに少子高齢化が進み、外国人労働者は増え続けます。政府が増やすと言っているので間違いなく増えて行くでしょう。それに伴い様々な問題が顕在化する中で、改善のため法改正が繰り返されており、その中で誕生した制度の一つが特定技能になります。
今後は特定技能の分野も広がる可能性があり、外国人労働者の受入れが容易になるかもしれませんが、制度が増えることで複雑にもなっていくでしょう。
「雇用側」、「外国人労働者」双方がwin-winな環境で働くためにも、基本的な知識を踏まえた上で間違いのない雇用をしていきましょう。
今回も最後までお読み頂きましてありがとうございました。