【障害福祉】行政書士から見えた経営側と職員側の溝

障害福祉

こんにちは。

今回は障害福祉をメインに扱っている行政書士の僕から見えた経営側と職員側の溝について書いてみたいと思います。とは言っても、僕も元々は障害福祉とは異なる業界で長らく会社員をしていたこともあり、今回の記事の内容はどの業界・会社にも通じるところがあると思っています。

前置きをしておきますが、今回の記事を書くにあたって「だからダメなんだ!」「〇〇しろ!」などと言うつもりは全くありません。あくまで行政書士として少し冷静な目で(言い換えると少し距離を保った目線で)見えた事業所内の出来事について私見を述べたいと思います。

【いきなり結論】経営側と職員側は水と油

いきなり結論を書きましたが、経営側と職員側は残念ながら水と油のように混ざる事はなく、すれ違いが続いていく仲だと思います。それも仕方ないと思えるところもあるんですよね。経営側はその名の通り事業所(会社)を経営していく必要があります。当然ながらお金を確保して利益を上げないといけません。そうしないと従業員の雇用も守れませんし、利用者さんの対応もできなくなってしまいます。やはりお金は大切です。

生産活動で使うテープ一つにしても経費として「どこで、どの単位で、いつ購入したら一番安く購入できるか」や、「どの作業を、どれぐらいの人数で、いつまでに、誰が(職員をいくら投入するのか)、作業すれば利益をあげられるか(高い工賃を支払ってあげられるか)」を常に考えなくてはいけません。

優先度を考えると「今日の作業の細かい点はどうだっけ?」や、「今日は誰がお昼ご飯いるんかいな?」というのは、どうしても下がってしまいます。職員側からすると「作業ぐらい全て把握しておいてください!」「お昼ご飯なかったらどうするんですか!」と言いたい気持ちもあると思うので、やはりすれ違いますよね。

どこの会社も似たようなことがあるんじゃないでしょうか。経営側と職員側は立場も違えば考える優先順位も異なるので懇親会などで一時的に混ざったとしても、またすぐに分離してしまうものです。それでも関係が決裂しないのは、やはりお互いの(大人としての??)思いやり(お金という人も!?)があるからではないでしょうか。

経営側と職員側のすれ違いが垣間見えた出来事

冒頭にも書いた通り僕は障害福祉をメインとしている行政書士です。仕事をする上では障害福祉の事業所を経営する方とお話することが多く、どちらかと言えば経営側の人間かもしれません。

ですが僕は経営側だけではなく、現場の方を含めた福祉事業所の健全な運営のお手伝いをさせて頂きたいと思っています。当然、その中には職員さんも含まれてます。

僕は今までの人生で障害を抱えた人が身近にいた生活を送っておらず、ずっと別の業界で生きてきました。だからこそ「実際の現場の大変さを知っておきたい」という思いから、就労継続支援B型の職員としても働いています。また子供の友達のお母さんが、たまたま障害福祉の事業所でお仕事をされていることもあり、色々現場の事を聞かせてもらったこともあります。
その中で「経営側と職員側がすれ違っているな」と感じた出来事をご紹介します。

子供の友達のお母さん(Aさんとしましょう)から聞いた話です。Aさんが勤めている事業所は障害区分が少し重い方が多く、常に介護が必要な現場です。
ある日、その事業所に何らかの理由で役所の方が来ていた時の事を話してくれました。

Aさんは、ある利用者さんがいつも頑張っていることを目にしているので事業所を見に来た役所の方に「こんなこともできるようになったんですよ!」と、あれもこれもできるということを一生懸命アピールして頑張っている姿を見せていたそうです。その甲斐(?)もあってか、後日その方の障害認定区分が軽くなったそうです。すると、それを知った経営側から大変なお叱りが…。

おわかりですよね。Aさんは利用者さんの成長をアピールし、目に見える形で認定区分が軽くなったことも喜んだ。しかしながら経営側からすると区分が変ったことで毎月の請求単位が少なくなってしまった=売り上げが減ってしまったのです。

立場が違うからこそ起きた「良かれと思って取った行動」が、必ずしもすべての方に利益をもたらすとは限らなかった出来事と言えます。

Aさんは僕に話をしてくれる時も「会社は本当に利用者の事を真剣に考えているとは思えない」とぷんぷん怒りながら話してくれました。

今回のケースも利用者さんが一般就労できるようになれば、それはそれで新たに就労移行支援体制加算などにつながるかもしれませんが、経営側からすれば毎月の売上も気にしなくてはいけないため、安定していたサービス費が減額してしまうのは想定外だったかもしれません。

その他、よく聞こえるすれ違いケースと言えば、やはり給与などの待遇面

経営側が気をつけてくれたら良いのになと感じたこと

これはやはり職員への情報共有が不足しているのかもしれません。処遇改善加算のキャリアパス要件の4と3にも「任用要件」「賃金体系」「昇給の仕組み」などが含まれており、加算を取るための最初の基本的なハードルともいえるので、おそらく多くの事業所では仕組みとしては整っていると思います。

でも、残念ながら職員へうまく伝わっていない!
伝えてるかもしれないけど職員さんが忘れてる!のかもしれないですよね。

とは言え、ここはやっぱり「相手が理解していないのであれば、伝え方が足りなかったのかな」と意識を少し変えて頂いて、定期的なミーティングを開いたり、非常勤の方や、夜勤者の為にも必要な書類を職員がいつでも見えるよう掲示板や回覧板を作るなど工夫できることはあるかもしれません。

忙しいと思いますが、特に職員の誤解による関係の亀裂ほど悲しく、寂しいものはありませんので、是非一度検討頂けると有難いかなと思います。

職員側が気をつけてくれたら良いのになと感じたこと

先ほどのAさんにも色々聞いてみたところ。人によるとは思いますが、現場の方は国保連の請求や、加算などの仕組みはほぼご存知ありませんでした。そりゃそうですよね。普段の自分の仕事にないことですからやむを得ないと思います。

だからこそ少しでも知っておいて頂きたい。

経営側の毎月の売り上げや利用者の確保、生産活動の売上管理や取引先との関係維持、場合によっては近隣住民の方への良好な関係、そして何より職員含め利用者皆の生活を背負っている誰にも言えない重圧と重責(これを解決するのはお金が必要なんです。。)

経営側には同僚などと愚痴を言い合うことすらできない責任とプレッシャーを常に感じているという事を。

まとめ

経営側と職員側は水と油と書きました。決して綺麗に混ざる事はないかもしれません。でも、それぞれがそれぞれの立場で一生懸命仕事しているんですよね。先の事例でも職員だって利用者さんの為を思ってやったことだったんでしょう。利用者さんとしても「自分って、こんなこともできるんだ」と自信を持てたら嬉しいでしょう。

先にも書きましたが、お互いすれ違ってしまうのは非常に悲しいです。まして離職となると誰も幸せになりません。

経営側もバタバタ忙しいですし、非常勤者とは数日顔を合わせない事だってあると思います。だからこそ掲示板や回覧板、場合によってはスマホ同士での情報共有などを用いて、お互いのフラストレーションが溜まってしまわない様、コミュニケーションを取る事が必要だと思います。

最後にもう一度書きますが、「経営側と職員側は水と油で混じる事はないかもしれない。でも、目指す方向はご利用者様は勿論、職員含めた皆が幸せになる事であることは間違いない」と思っているので、お互い「きっと大変なんだろうな」という少しの気遣いを持ちながらも疑問点があれば解消していくことを心がけていけたら素敵だなと、一人の行政書士として感じました。

拙い文章にて失礼しました。今回も最後まで読んで頂きましてありがとうございました。

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